うちの会社は大丈夫?取適法違反になりやすい「グレーな取引」具体例5選|行政書士がチェック
「うちはそんな悪質なことはしていない」 そう自信を持って言える経営者の方ほど、実は注意が必要です。
公正取引委員会や中小企業庁の調査で指摘を受けるケースの多くは、悪意のある「いじめ」ではなく、「業界の慣習だった」「これくらいは許されると思っていた」という無知や油断から生まれています。
今回は、行政書士の視点から、特に指摘を受けやすい「グレーな取引」を5つご紹介します。自社の取引に当てはまっていないか、セルフチェックしてみてください。
1. 「支払遅延」:合意していてもNG?
一番多いのが支払いです。 「資金繰りが苦しいから、今月だけ支払いを1ヶ月待ってほしい」と下請け企業に願い出て、了承を得たとしても、法定期間(受領から60日以内)を超えれば即違反です。相手の合意があっても言い訳にはなりません。
- 下請法 第4条第1項第2号:下請代金の支払遅延の禁止
- 取適法 第12条:特定受託事業者に対する報酬の支払期日
- 内容:商品を受領した日から起算して「60日以内(取適法では原則30日以内を目指す運用)」に支払わなければなりません。「相手が待ってくれると言ったから」という理由は一切通用しません。
2. 「買いたたき」:過度な値引き要求
原材料費が高騰しているのに、「うちは据え置きで頼むよ」と一方的に価格を据え置いたり、相場を大きく下回る単価を押し付けたりすることです。発注側のパワーバランスを利用した価格設定は、厳しくチェックされます。
- 下請法 第4条第1項第5号:買いたたきの禁止
- 取適法 第16条:不当な取引条件の押し付けの禁止
- 内容:十分な協議を行わず、通常支払われる対価に比して著しく低い報酬を決定することは禁止されています。特に昨今のインフレ下では最も厳しくチェックされる項目です。
3. 「不当な返品」:受領後の突き返し
納品時には問題がなかったのに、後から自社の都合(売れ残った、仕様をやっぱり変えたい等)で商品を返品すること。これは下請法・取適法において最も典型的な違反行為の一つです。
- 下請法 第4条第1項第4号:返品の禁止
- 取適法 第16条(禁止行為として準用):
- 内容:納品物に欠陥がない(あるいは受領検査で合格した)後に、自社の在庫状況や仕様変更を理由に返品することは、下請法・取適法において違反行為の一つです。
4. 「やり直し」の無償強要
「ここを少し修正して」という指示を何度も繰り返し、その分の追加費用を支払わないケースです。作業が発生している以上、対価を支払うのがルールです。
- 下請法 第4条第2項第4号:不当なやり直し等の禁止
- 取適法 第16条(給付内容の変更・やり直しの禁止):
- 内容:発注者の都合でやり直しをさせる場合、その実費や工賃を支払わないことは、特定受託事業者の利益を不当に害するものとして禁止されています。
5. 「購入・利用強制」:自社製品の押し売り
「今月ノルマが厳しいから、お宅もこの商品10個買ってよ」といった、取引を盾にした自社製品の購入要請です。これはいわゆる「優越的地位の濫用」にあたります。
- 下請法 第4条第2項第1号:購入・利用強制の禁止
- 独占禁止法 第2条第9項第5号:優越的地位の濫用
- 内容:取引の継続を条件に、正当な理由なく自社の製品やサービスを強制的に買わせる行為です。
💡 行政書士からのアドバイス
これらの行為は、現場の担当者レベルでは「ちょっとしたお願い」という感覚で行われていることが非常に多いです。しかし、経営者の責任として**「知らなかった」では済まされないのが法務のリスク**です。
特に起業間もない時期や、事業が急拡大している時期は、こうしたコンプライアンスが疎かになりがちです。守りを固めることは、会社を長く存続させるための「先行投資」だと考えてください。
まとめ:あなたの会社を「法務」で守るために
少しでも「うちの取引、怪しいかも?」と感じたなら、それは改善のチャンスです。大きなトラブルに発展して、社名が公表されたり多額の課徴金が課されたりする前に、一度社内の取引ルールを見直しましょう。
「この取引内容は法律的にどうなの?」という具体的な疑問があれば、お気軽にご相談ください。起業スクールの知見を活かし、経営に寄り添った解決策を提案します。
※行政書士が直接対応いたします。お気軽にご相談ください。

