【コラム】凡事徹底の先にある縁。トップ層に届く「戦略的ファンベース」人脈術
起業家にとって、誰とつながるかは事業の加速スピードを決定づける重要な要素です。しかし、多くの駆け出しの起業家は「自分には実績がないから」とか「十分な収益がないから」などという理由から気後れしてしまい、せっかくの出会いの機会さえも活用できずにいるのです。ということでこの記事では人とのつながりが上手く作れないという悩みの解決方法を紹介できればと考えています。
では、さっそくまいりましょう。
あるネットのニューズ記事を身ながら、非常に興味深い人脈形成の手法を耳にしました。それは、「ファンとしての接触から入り、特別な存在へと昇華させる」というアプローチです。今回は、これを起業家がどう実践すべきか、3つのステップで独自の解釈を加えながら解説します。この記事を読む際には実際に”試しにやってみる”というマインドセットをしてから読まれると良いでしょう。
1. 「その他大勢」から抜け出す、リスペクトの表明
憧れの経営者や専門家にいきなり「ビジネスの相談」をしても、相手のメリットが見えなければ門前払いです。そもそも人は他人の話を聞くことは”時間の無駄”でしかないという意識を持つ人が大半です。こんな意識が根本にあるからこそ有料相談というサービスが仕事になるのです。かく言う私も、行政書士という肩書から相談を聞くことが仕事ですが、1時間につき5,000円程度の料金をいただいています。大して有名でもない私でさえ有料で人の話を聞くのですから、やり手の経営者やその分野の権威に話を聞いてもらうということは、その相手によほどのメリットでもなければ至難の業だということはご理解いただけますね。
では、高額なお金を払うしかないのでしょうか?答えはNOです。大切な初動は、「純粋なファン」として接触を図ることです。具体的には次の2つを紹介します。
- SNSでの反応: 投稿に対する質の高いアウトプットや感想を送る。
- イベントへの参加: 相手が登壇する場に足を運び、直接声を届ける。
1.SNS施策について
まずは「自分の活動を熱心に応援してくれる人」として、相手の記憶の片隅にインデックスされることがスタートラインです。この目的意識をもって接触を試みてください。SNSで突然にコメントすることは相手が日本人の場合には注意しましょう。失礼な人とかずうずうしい人という印象を与え、最悪の場合にはブロックされてしまうことも。
先ずは、接触したい相手の発信する記事をじっくりと読み、何を伝えようとしているのか整理しましょう。その際に、ハッシュタグなどがつけてあれば主要なキーワードであることが判明します。もっと言えば、そのキーワードで他の人が何を発信しているのかをチェックしている可能性が高いのです。
このことを逆手に取ると同じキーワードで発信することで気に留めさせることも可能性が高くなります。その記事の中に接触したい人が特定できるようにしておけば「この人は自分のことを見ている」と認識させることになります。この効果を何度も繰り返すことで、ファンとして認知されるようになっていくのです。
2. イベントへの参加:「深い理解」が、ファンを「特別な存在」に変える
単に「すごいです!」と言うだけでは、ただのファンで終わります。一歩踏み込むために必要なのが、相手を徹底的に研究することです。
- 著書、インタビュー記事、過去の登壇内容をすべて網羅する。
- 相手が大切にしている価値観や、現在向き合っている課題を推察する。
「そこまで見てくれているのか」という深い理解に基づいたフィードバックは、相手にとって「自分の理解者」という特別な存在に映ります。この段階で、心理的な距離(懐)が一気に縮まります。
3. 「貢献」による人脈の固定化:ファンからパートナーへ
特別なファンとしての地位を確立し、個別の接点(返信が来る、直接話せる等)が得られたら、いよいよ起業家としての腕の見せどころです。
得られた接点を単なる「記念」で終わらせてはいけません。ここからは、「どのような価値を相手に返せるか(GIVE)」を死ぬ気で考え抜くフェーズです。
相手の「弱点」や「面倒」を埋める
トップ層でも、すべてが完璧なわけではありません。「リサーチする時間がない」「新しいツールの使い方がわからない」「若年層のトレンドが追えていない」といった隙間が必ずあります。
- 情報のキュレーション: 相手が興味を持ちそうな最新ニュースを整理して届ける。
- 現場のフィードバック: 「先生の理論を自分のスクール生に試したところ、〇〇という成果と、逆に△△という課題が見えました」という実データを提供する。
- 実務のサポート: 行政書士の私であれば、法的スキームの観点から相手の新しいプロジェクトの懸念点を無償で整理し、レポートとして届けるといった手法が考えられます。
この「貢献」が継続されたとき、あなたは「ファン」という枠を超え、「ビジネスを共に語れるパートナー」や「守り立てるべき門下生」へと昇華するのです。
4. 凡事徹底が「運」を「実力」に変える
人脈術と聞くと、華やかなパーティーでの名刺交換をイメージするかもしれません。しかし、真に強固な人脈は、こうした「泥臭い準備」と「徹底的な敬意」の積み重ねからしか生まれません。
「実績がないから会ってもらえない」のではなく、「相手を驚かせるほどの準備をしていないから、関心を持たれない」のが現実です。
有名人に学ぶ「相手を驚かせるほどの準備」とは…
1. 孫氏と藤田氏(日本マクドナルド創業者)
これが最も「戦略的ファンベース」を体現した有名な逸話かもしれません。
当時、高校の学生だった孫正義氏は、藤田氏の著書『ユダヤの商法』に衝撃を受け、「どうしてもこの人に会いたい」と熱望しました。しかし、一介の高校生が日本マクドナルドの社長に会えるはずもありません。
- 驚きの準備: 孫氏は何度も電話をかけましたが、当然門前払い。そこで彼は、「単身、東京の藤田氏の事務所に乗り込み、秘書にこう言い放った」のです。「社長の顔を見るだけでいい。3分でいいから。私は社長の本を読み、これからの時代はコンピューターだと確信した。そのことを伝えに来た。私の顔を見るのが嫌なら、仕事をしている社長の横顔を眺めているだけでいい。」
- 結果: その熱量と、著書を読み込み「次はコンピューターの時代だ」という結論まで導き出した準備の深さに藤田氏が感銘を受け、面会が実現。藤田氏は「君、アメリカへ行きなさい」と助言し、それが今のソフトバンクへと繋がりました。
2. 投資の神様バフェットと恩師グレアム
投資家ウォーレン・バフェットが、師と仰ぐベンジャミン・グレアムの門を叩いた時の話です。
- 驚きの準備: バフェットは、グレアムが投資判断の基準にしていた「企業分析」を、当時の誰よりも徹底的に行いました。彼はグレアムが役員を務めていた保険会社ガイコ(GEICO)について調べるため、わざわざワシントンにある本社へ行き、守衛に頼み込んで入館。 そこで出会った幹部を質問攻めにし、会社の中身を完全に把握した状態でグレアムに会いに行きました。
- 結果: 当初、グレアムはバフェットを採用する気がありませんでしたが、バフェットの「自分(グレアム)以上に、自分の投資対象について調べてきている」という事実に驚愕し、彼を自身の投資会社に迎え入れました。
3. スティーブ・ジョブズとビル・ヒューレット
ジョブズがまだ12歳の頃のエピソードです。
- 驚きの準備: 彼は周波数計を作ろうとしていましたが、部品が足りませんでした。そこで彼は、HP(ヒューレット・パッカード)の共同創業者であるビル・ヒューレットの電話番号を電話帳で探し出し、自宅に直接電話をかけました。
- 結果: 12歳の少年が、自社の製品について熱心に語り、具体的に「どの部品が必要か」を専門用語で説明する姿に、ビルは驚きました。結果として部品をもらえただけでなく、その夏、HPでのアルバイトまで勝ち取ったのです。
起業家へのメッセージ:謙虚さは最強の武器になる
自分を大きく見せようとする背伸びは、プロの目にはすぐに見抜かれます。 あえて「ファン」という謙虚なポジションから入り、圧倒的なリサーチ量と行動量で相手を圧倒する。このプロセスこそが、事業構築における「徹底的な準備」そのものの訓練にもなります。
実績が少ない時期こそ、この**「敬意をベースにした戦略的アプローチ」**を試してみてください。その一歩が、数年後のあなたの事業を支える、何物にも代えがたい「大きな縁」へと繋がるはずです。
<参考リンク先>
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